春だから。欲しいデザインのものがあったから。意外や安かったから。
色々な理由をこねくってみたが、とにかく自転車が欲しかったので、買った。
乗り物を買うのは昔からクセみたいなもんだ。乗り物は思いつきで買うと楽しい。
一時期、若い頃。
7~8回続けて体力が尽きたが。自動車、オートバイ、自転車、キックボードにスケートに。いや、「スゲーなおい」とか「金持ってたのか」とかの類ではない。例えば中古だったり例えばフリーマーケットだったりもともと安いものだったり。ただ乗り物が好きでたくさん欲しかった。
外皮の一部がプラスティックでできた小さなフロント駆動のスポーツカーとか、屋根なしの背中にエンジンを置いた二座とか。
水冷単の薄べったくて美しいフレームのオートバイとか。低い車高の3輪の原付に折りたたんでクルマに載せる変り種二輪、カブのオフ車とか。念入りにおかしなものばかりを選んでは手に入れた。自転車もずいぶんいろいろな方向性を持つものを買ったなあ。
自転車はほしかった。あまり持ったことがなかった軽くてタイヤの細いものがいいよな、というのが最近の気分だった。
見つけたのがこれ。名前がえらくゴージャスでかっこ良かった。
「ドッペルギャンガー 555 ブラッククイーン」
この名前。響くなあ。そういうケレン味、嫌いじゃない。
小径、ロングホイールベース、異型フレームに前後本数違いのスポーク、ゴールドディープリム、ディスクブレーキとなかなか見所の多い一台。カスタム感が強いのが売り。サスペンションなしのところも気に入った。この派手な自転車がまさか2万円代半ばで買えるとは思わなかったよ。Amazonなんかで探し出せる。標準小売価格は46200円。
箱を開けると実に合理的に小さくばらしてまとめてある。無駄なく要所要所に傷防止のカバーが施されて、そいつを取り去っていくお楽しみと言ったらない。乗り物の組み立てってのはいつだって楽しいもんだ。写真イメージよりもシックなつや消しの黒いフレームと派手なゴールドのリムが見えてきてわくわくは最高潮に。
組み立て、調整とも昔取った杵柄で20分ほどでさっさと完了。精度云々いうやつもいるけど自転車なんてもんはスパナでひっぱたいて作業終えたら自分の全体重でのしかかってバラバラになんなきゃあらかた大丈夫。持っていた携帯型フレンチバルブ用インフレーターがホースタイプではない口金部分のカバーパーツが大きいもので、スポーク/ニップル間の距離が短いこのホイールには使えなかった。
近所の自転車店で仏式→英式変換バルブを買って店頭のコインポンプで空気も注入完了。ここまで含めて届いてから1時間かからずに乗り出しができた。
(通販で自転車買ったことのないやつ、一度も機械、自転車いじったことのないやつは調整、プロに任せるように。そういう技術には敬意を表すべきだし金を払うべき。だって、自分で出来ないんだろ?自分でやって何かあるとメーカーや人のせいにするんだろ?だったらやめときな。D.I.Yって言葉、知ってる?Do ItYourself。自分でやる、責任まで背負うって意味なんだぜ)
(通販で自転車買ったことのないやつ、一度も機械、自転車いじったことのないやつは調整、プロに任せるように。そういう技術には敬意を表すべきだし金を払うべき。だって、自分で出来ないんだろ?自分でやって何かあるとメーカーや人のせいにするんだろ?だったらやめときな。D.I.Yって言葉、知ってる?Do ItYourself。自分でやる、責任まで背負うって意味なんだぜ)
初乗車での印象、これが実に快適な自転車。
踏み出しが軽い。自転車自体の軽さに加えて(11.8kg)細い小径ホイールはクルマでいうところのバネ下重量の軽さとも相まって軽く踏み込むとすっと前に出る。羽根のようだ。ギア比は街乗りに適しておりどちらかといえばまだまだローギヤード。7速からでも平地でなら踏み出せる。フロントに52Tがついているが歯数を増やしてもう少し距離を伸ばせるものにしてみたい。せっかくいい素養を持つ車体だからね。
ブレーキは少々癖があるものの、これも調整次第。ちょいちょいいじくりながら調整をかけていこうと思う。
ドッペルギャンガーというブランドのこの自転車。ほかのラインアップもなかなか魅力的なものが多くて困る。買ったばかりだからね、すぐ次ってわけにはいかぬ。でも、とにかくグラフィックやカラーに大きくこだわりを持った、どちらかというとエクストリームな考え方で自転車を企画するおもしろい企業。うん、そういうの、肩入れしちゃうんだよ。ちょっとラインナップを覗いてみるといいよ。あなたの気持ちに刺さるもの、あるかもしれない。
実際に実用してみてなのだけど、これがね、いける、いける。
打ち合わせや仕事で荻窪界隈から永福町、表参道、渋谷、新宿とひとまわり(30km)これまた打ち合わせに大塚まで(30km)走ったり高田馬場(20km)へ通ったり。往復でそれぞれそれくらいの距離だったら仕事や打ち合わせのパワーを温存しつつ十分に交通機関として役目をはたしてくれる。運動不足ですっかりたるんだからだでも何とかなってしまうのだ。こりゃ楽しくないわけがない。
女子受けも悪くないみたいで。昨今のブームもあってか自転車で打ち合わせに現れるオジサンをおんなのこはちょっといいじゃん、と思ってくれるらしい。覚えておきなよ、これ読んでるあなた。カメラが好きな人もいいと思うよ。普段行かない場所に普段と違う目の高さとスピードでいくのはいろいろな被写体に出会える可能性を広げてくれる。
そして、乗り物好き、街歩き好きのわたしの目線からなのだけど、トウキョウ、それも中心部は自転車が一番便利な街かもしれないってこと。
ご存知の通りわたしはカレーのひとの側面を持っているのだが、とにかくもう、自転車サイコー。カレー店、ドアトゥドアで到着という快感。道すがらで次々とカレー店を見つけてしまう楽しさ。
目線の高さとスピードが変わるとこまでかわるんだ、という新鮮な感覚。
クルマやオートバイじゃこうはいかないんだよ。それに駅からはなれていたりでいきづらかった店がなんだか急に近くに感じられたり。
自分の中のトウキョウの感覚、距離感がかわってしまうのだ。
これはとてもおもしろいこと。
また自分の目で見られるものの種類や角度がふえていきそうな予感がする。
いいね、久しぶりのスポーツバイク。
いいね、久しぶりのスポーツバイク。
(映像はドッペルギャンガー公式の映像です。)
KHSとタイレルを足して2で割った感じかな
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