「定食 やまぎし」のあら煮定食。
いつも駅への道でここを通りかかる。昼時、店先のメニューを見てこいつを見かけた時は、腹が空いていようがいまいが、ふらふらと店の扉を開けてしまう。そういう困ったメニューが、あら煮定食だ。
まったくうまい。
本物のあらで、鰭や骨がいっぱいだ。はっきりいって食べづらい。が、それをのけのけ食べるのが楽しいのだ。そして食べづらいくらいの魚のあらだからこそ、出てくる味というものがある。
甘く煮付けられた幸せな味に針生姜が心地よく効いている。味噌汁もお新香も控えめの薄味だ。現代の工場で作られる濃い味に慣れた口には一瞬おや、おと思うかもしれない。そこをぐっと我慢して出汁をゆっくり味わうのだ。本当の繊細な美味しさがすぐにわかるはずだ。出汁の繊細さを味わい、締めに残した一口分のごはんと控えめの塩味が上品なきゅうりの糠漬けを大事に、一気に口にほおりこむのだ。
ただ事ではない至福の時間が過ごせるだろう。
最近ではずいぶんな人気のようだ。店がいっぱいの時間もままあるようだ。
昼時は長居する店ではない。だから回転も速い。ちょっと待ってうまいものを食らう楽しみ、代え難いものがある。
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