いいと思います、それで。
もう、大きな企業なんだから。
大きいものっていうのは、やっぱり急には舵切れないんだよね。
やっぱりね。
それは、戦略、方向性含めの流れだものね。
そういう商品は置けない方向に、だんだんとなっていっていた。
ただ、今回がきっかけ。
よくわかる。
twitter。ヴィレッジバンガードのとある店舗のツイートで、こんなものがありました。
>>
vvcoco ヴィレッジヴァンガード ココウォーク店
悲しいお知らせです。 大人の事情により、店内からエロ系のグッツや本やコミックが姿を消します(´・_・`) なんか、ちょっと、やるせなすです。 エロ系を求めてご来店されてたお客様、大変申し訳ございません(−_−;)
<<
ヴィレッジバンガード。
「遊べる本屋」というスローガンを掲げて名古屋で創業。
初めは大きな倉庫をひとつ借りて、そこにビリヤード台を数台おいて、その上に本と雑貨を陳列して、という、まことにもって自由な発想とチャレンジを持って書店業に新風を吹き込んだ、書店の枠を越えた書店。
創業25年。
2500人以上の従業員を抱える、JASDAQに上場を果たしている、大企業。
そうなんだ、大きくなったんだねえ。
現在、直営、フランチャイズ、10店の飲食やその他を含めて約350店が全国て展開されています。
そのうちの約3分の1が、ビルインの形態や大型のショッピングモールの中での出店です。
キツかったよなあ、営業。
なんとか商品ぶっ込もうと躍起になってたけど、掛け率、叩かれるんだよねえ。
いつだったかな。
営業まわってて、静岡や名古屋の郊外のアピタやユニーに入っているのを見かけるようになったのは。
そのころから緩やかな死は始まっていた気がします。
ヴィレッジバンガード。とても好きでした。
いちいちわくわくしたんだよね、あのころは。
担当が一生懸命探して選んだというのがよくわかる雑貨の商品セレクト。
それを、狙い通りの本の横において、組み合わせて、おもしろいPOP書いて。
うん、なるほど、きっちり仕入れ担当者の狙いや「してやったり」の顔が思い浮かべることができる。
なんというおもしろい本屋だろう。そう思いました。
情熱を持って取り組んでいる、やってる人間が面白がってやっている、というのがよくわかる売り場。
それをみると、ある意味、隙がないよなあ、と思いました。
それが、ビルイン、百貨店出店形態の店がふえるにつれ、POPがない、もしくはそのPOPから出ている熱気が感じられない商品が所々に見えるようになって。
あ、なるほど、一括仕入れの各店ばらまき、本社仕入れ商品かあ。
そういうのがね、よく見えちゃう店でもあった。
それは、そういうふうになるまでの情熱や取り組みに熱がありすぎたから、でもあるのかな。
いいことだよね、それは。
ただ、大きくなってきて、セグメントを変えた(結果としてのサブカルチャーに理解がない層の取り込み=百貨店系の店内展開)その結果でしょうね。
いまじゃあ、あ、これあっちの雑貨屋でみた、とか、デパートでも売ってるね、的な雑貨が大半になってしまって。
POPも湯気が出てるような名コピーを見かけることが少なくなって。
肝心の本との組み合わせで切り口を変えて売ってゆく、というヴィレッジバンガードが作り出したスタイルさえ、弱い印象がある。
なにが悪いと思いますか?
お店がね、悪いの。
もうちょっというと、百貨店やチェーンの飲食店や、そういう大手。
クレームがあります。
そのクレームに掛ける費用、ね。
例えばこれはうちの水道の蛇口に合わなかったから返品しますって持ってくるでしょ、お客が。
その浄水器をみるとね、箱はびりびりに破いてあって、それは我慢するとしても、明らかに水を一回通している。
ボクなら返品できないね。
蛇口ひねる前に、合う合わないはわかるわけだし、それ以前に説明書や箱に適合する蛇口の径が懇切丁寧に書いてある。
で、ここで、そういう説明をする個人の小売店があるでしょう。これはお勉強。
お客がお勉強をする場です。
説明されてそりゃあそうだよね、と思うはずです。
百貨店や大手は違います。
その説明に掛ける人員と時間あたりを考えると、はいはい交換しましょうねえ、返金しましょうねえ、と、バカを扱う態度で客を扱う。
勉強させる暇を与えない。
するとそれが客にとって当たり前になる。
大きな企業もクレームに対する人件費とシステムの分の損失が返品商品だけですんで、損失がトータル少なくなる。
(納入業者、メーカーは泣いています。百貨店はそういうもの、平気で業者に戻すけど、戻されたって、ガラクタや傷物をもう一度再生して売ること、出来ないもの。割りを喰うのは彼らです)
DVDを見てから返す「おもしろくなかったから」、CDをコピーしてから返す「思ってたのと違う」、食べかけを返す、壊して返す、、、
こういう文化を効率優先の企業が育ててきました。
個人の小売店がつぶれて行くのはここらへんもあるのです。
お客だって悪い。
自分がやられたらいやなことを、店にしているのだもの。
同じことを人からやられたら顔真っ赤にして怒るくせに。
なにやってるんだろう、自分勝手で。
店とお客は5分と5分です。
それをみんな忘れてしまった。
文句をいえばすべて通ると、お客が思い込んでしまった。
でも損してるの、知ってる?
そうやってわがままがきいていいよねえ、とか思ってるやつ、企業はそんなに甘くない。
そういうコストを乗っけてものを売るんだよ。
本当は安いものを、バカのクレーム分、乗っけて売るわけです。
簡単です。
心ない人と心ない企業が向かい合って、やり合って。
そうやっていろいろなものがくずれてきてしまっている、小売り、流通業なのじゃないかな、と思うのです。
ヴィレッジバンガードも、ひとりのお客のクレームをきっかけに、やっっぱりそういう面倒は先に手を出さないほうが得だよね、と舵を切った。
もともとそういう航路を進んでいたけれど、きっかけとして、このことで。
POPといえば、HMVの撤退なんかも思い出すよね。
ヴィレッジバンガードは大きくなりました。
企業、です。大きな企業。
営利は優先するべきで、当然。
ただ、企業というのは公の物でもある。社会還元が必要なのも事実。
例えば、サブカルチャーやエロ、アンダーグラウンドなものを排除するなら別チャネルでなにかそういうものを生かす方法、発信する、仲介してその文化を潰さない方法を模索すべきであると考えます。
なぜなら、ヴィレッジバンガードは、そういうものたちに、恩があるはずだからです。
そういうものもあってのヴィレッジバンガードのカルチャー、だったはず。
恩というのは受けたらば必ず返さねば、そのしっぺ返しを受けるものです。
おやすみなさい、ヴィレッジバンガード。
よい夢を。
追記
ヴィレッジバンガードにはボクの本をおいてもらっているお店もあります。
だからこそ、書きたかった。
追記
書店、という切り口でみると、いまだ価値ある店だと思う。
新刊本の割合は多くなく、価値のある書籍や長く売りたい本をちゃんとおいて売っている。
これは賞賛すべき点です。